- ヘア業界を目指す若者達へ!ホントの業界の姿
ダーティーな業界イメージと経営者の無責任
他のどの産業を見ても、ヘア産業(特に美容業)ほどの高い離職率は例がありません。
かつては「カリスマ美容師ブーム」到来で、一躍世間の注目を浴びた時代、美容学校の入学者数は過去最高を記録しました。そして彼らが社会に出たとき、同じく離職率は過去最高を記録しました。
そして毎年、その記録を更新し続けているのです。
小さいながらも夢を感じて業界に入ってきた若者たちが、本当の楽しさや仕事に対するやりがいを見出せずに業界から退場してしまうということは、どれだけマイナスなのか?各サロンの経営者そして業界のリーダーたちは理解していません。
いや、本当は彼らが辞めていく原因をわかっているはずなのに、真正面から見ようとしないのです。
離職した若者たちには家族や親戚がいます。美容学校を薦めてくれた進路指導の先生もいます。そして故郷に帰れば友達もたくさんいます。
この人たちは立場を変えれば、それぞれサロンを利用している一消費者です。
業界を去った者たちが、業界のよいウワサを流してくれるはずがありません。
彼らの口を介して、今まで知ることのなかった業界の常識がダーティーな印象で世間に広く伝わっていくのです。
美容師、理容師になると「給料が安くて休みも少ない」という事実は中学生でも知っていますよ。
高校生になると進路指導の先生が気にします。
「社会保障のない業界だぞ!」と。

上図をご覧ください。
厚生労働省が発表している、賃金構造基本統計調査というデータがあります。
国が正式に認可している公的資格の職業の中で、ワースト2が理美容師です。一般社会の賃金水準から比べると二分の一程度です。
しかも、社会保障(福利厚生・年金・保険)がほとんど整備されていない。
これでは日雇いの日当労働となんら変わりがありません。
かつては、つらいことも経験を積めば、やがて独立して店を持てるという目標が見出せたから、若者たちは何も言わずにがんばってきました。
ところが再三申し上げるように、もう彼らのほとんどは独立できないのです。
そうなれば雇用している経営者が彼らの生活を長きに渡って、保障していかねばなりません。
かつてサムライジャパンを率いた、イビチャ・オシム監督は練習中に一向にモチベーションの上がらない選手たちにこう怒鳴ったそうです。
「お前らアマチュアか?代表である責任を持たずにその程度ならプロじゃなくアマチュアだ!俺は命を懸けているんだ!」と。
まったく同じことが言えます。
経営者とは事業を通じ、雇用する従業員の生活を保障すること。
労働環境も整備していない。社会保障も与えていない。おまけに日当労働で世間の笑い者にされる低賃金で雇用を続けるサロンの店主・社長は、まさにアマチュアです。
インターネットを覗けば、ヘア業界に対するダーティーな書き込みや記事は溢れかえっています。
消費者は「美容室ってそんなものね」「散髪屋ってね」とバカにするたびに、皆さんの提供している施術の価値はどんどん落ちていきます。
世界選手権で金メダルを獲ることよりも、Sマークを作るよりも、新デザインを発表するよりもまず先に取り組まなければいけないことが、山のようにあるのです。
これら消費者に必要とされなくなっている本当の原因に、いったいどれだけの業界のリーダー、各店の経営者が真正面から見つめ、命を懸けて改善に取り組む真のプロになれるでしょうか?
現在のところはなはだ心細い限りです。
ヘア業界を目指す若者にお伝えしたいこと
このように本当の姿を知ることが、皆さんの第一歩です。
専門学校を選ぶときからそのことを頭の中に入れておいてください。
皆さんの前途は相当に厳しいのだと。
しかし、厳しい環境におかれているからこそ、「努力する者」は大きなチャンスであることもお伝えしておきます。
今の時代は「高い商品力」と「経営センス」がどうしても必要です。
専門学校在学中から教えて頂く「技術」をしっかり身につけてください。
「技術」はまさに皆さんの「商品」です。「商品」が粗悪であると、消費者の支持を得ることはできません。
そしてもうひとつ大切なのが「経営センス」。
在学中にこれを身につけると、「就職選び」が非常に楽になります。
皆さんの生涯の運命を決定付けるのは「どの学校を卒業したか?」ではなく「どこに就職したか?」です。
サロンの経営者は皆が、一国一城の主であるから、実に多岐に渡ります。
その経営者の特徴がそのサロン(企業)のすべてであり方向性です。
デザインばかりを追いかけて経営センスがまったくないサロン。
社会保障をせずに、いまだに蟹工船のような労働環境を強いているサロン。
独立できない時代に入っているのに、「いずれは独立」をほのめかして、丁稚奉公をさせているサロン。
経営者が一人勝ちで高級車に乗りまくり、スタッフは皆安い給料とノルマに追われているサロン。
在学中から皆さんが「経営センス」を磨いておけば、間違ったサロンに就職してしまうことはありません。よい経営者とダメな経営者の見分けがつきますからね。
世間は就職氷河期だけれど、ヘア業界は別です。「超売り手市場」なのですよ。
さて、皆さんが在学中に「経営センス」を身につけるにはどうしたらよいのか?
一番手っ取り早いのが「他業種のアルバイト」をたくさん経験することです。
特に勉強になるのは「飲食業界」でしょう。個人のお店から大手のチェーンまでを複数経験してみるといい。
ヘア業界が小学生なら、飲食業界は大学生レベルの経営観念を持っています。
世間の荒波にもまれにもまれ続け、今を生き抜いている経営力を肌で感じることこそ、皆さんがヘア業界で大きな成功を収める根っこになるでしょう。





















































