- 第一章:大きな勘違いを修正する
- 現在、日本国内でサロンを経営している、数十万のオーナーが抱えている共通の問題は、以下の項目に尽きるはずです。
- 「お店を開けていても、いつお客様が来店されるか?まったく読めない。」
- 「今日の売上げが明日も獲れるとは限らない。」
- 「明日からお客様がパタリと来なくなったらどうしよう・・・。」
- 「スタッフがなかなか定着しない。」
- そして、 「このままの状態で将来も、この仕事で食べて行けるか?不安でしょうがない。」
- その悩みの根源は一体どこから来ているのでしょう?
- 振り返ってみれば、昔も今も変わらぬ仕事、営業内容で来ているはずなのに、少なくとも現在ほど、不安を抱くことはなかったのではないでしょうか?
- では、昔と違う環境の変化は?
- 明らかに同じ街に同業者が増えてきた。
- 失客の数が多くなってきた。
- リピート率が低くなってきた。
- 昔ほどお得意様は定期的に自店を利用してくれなくなった。
- 固定化するお客様の数が減ってきた。
- ディスカウントの競争や、安売りをメインにするサロンが多くなってきた。
- スタッフが定着しにくくなった。
- お客様一人ひとりの来店サイクルが非常に伸びてきた。
- 人によってはもっと外的な要因が出てくるかもしれません。
- ほとんどのサロンがこれらの環境の変化により、売上を大きく落とし続けている現在です。
- 正確に言えば、環境の変化に対応できていないから、売上を落とし続けているということになります。
- すでに本テキストで学んでいる皆様には、どうして消費者がそんなライフスタイルに変化したのか?その本質的な原因がお解りのはずです。これから先、街角のヘアサロンという業種を当てにしない、消費者の傾向はますます加速していきます。
- その度にサロンが売上を伸ばすチャンスは狭くなっていきます。
- ではなぜ、ヘアサロン業界は「世の中の環境の変化」を見逃してしまったのでしょう?
- それにはこれまで長く業界では当たり前だといわれてきた、数々の常識が一般的に比較すれば、実は大きな勘違いであったということが、最近の我々の研究から明らかになってきました。
- 今回はその「勘違い」をいったんリセットし、世の中の環境の変化に対応できる新しいサロン作りを学びましょう。
- 第二章:客単価計算の勘違い
- 今でもほぼ全てのサロン経営者が「客単価」を算出する場合、以下の計算式で数値をはじき出しているはずです。
- 売上高÷客数=客単価
- つまり、一ヶ月の総客数が100人で、売上高が800000円だった場合、一人当たりの客単価は8000円という答えになります。
- しかし長い間の研究で、この客単価計算式は大きな間違いであることが判明してきました。
- どういうことかというと、非常にわかりやすい例でご説明します。
- 部屋数が10室あるホテルが、その日2室しか埋まりませんでした。
- しかしその2室にチェックインされたお客様のうち、お一人はホテルの宿泊料10000円だけのお支払いでしたが、もう一人のお客様は宿泊料に加えルームサービスを20000円分もご注文してくれました。
- この日の売上げは以下の通りになりますね。
- 部屋料2室分・・・20000円 その他売上げ・・・20000円 合計40000円
- 今までの客単価計算式に当てはめると、一人当たりの客単価は20000円になるのです。
- 冷静に考えてみればこの数字は、すごく矛盾していませんか?
- 単純に「うちのホテルは客単価20000円だぞ!」と喜べませんね。
- 8割が空室となっているにもかかわらず。
- この数字のマジックにだまされている経営者は非常に多いものです。
- そもそも、一箇所にお客様を集中させて、商品を提供する小売業、サービス業に関してこの客単価計算式は成立します。
- スーパー・百貨店・遊園地・コンビ二・量販小売店・ネット通販など、掃除機のように吸い寄せる入り口からお客様が集まり、消費していく産業には、 まさしく
- 「売上高÷客数=一人当たりの客単価」という数式が成立します。
- ところが、提供する商品やサービスが箱モノ(カラオケボックス・ホテル等)や席モノ(飲食店・映画館・ショー劇場・客船・ゴルフ場・スポーツジム等)、あるいは人的労力を対面で行う産業(病院・ヘアサロン・個別指導の進学塾・整体等)は上記の客単価の計算式を当てはめることは、健全な経営を継続する上で非常に危険なのです。 どのくらい危険なのかを、いくつかの例で確認しましょう。
- 積載人数が500名を誇る豪華客船が、横浜大桟橋から世界一周の船旅に出かけました。
- ところが船旅には4名の客しか集まりません。
- しかし客単価が、以前の航海に比べ5000円もUPしました!
- 企画した船会社は大きな黒字となりました・・・・。
- そんなわけはありませんね。(笑)
- 客単価以前に、収容の部屋数がほとんど埋まっていないのですから、この場合の客単価などまったく参考にはなりません。
- ある地方都市の近代的な映画館には、リクライニング式の席が100席ありました。しかし全体の20%ほどしか稼動していません。
- ところがこの月は売店のポップコーンやビール、映画のオフィシャルグッズの販売も好調で、入場料2000円を加えると、客単価が3200円にもなりました。 しかし冷静に考えれば3200円など何の意味もありませんね。
- 全体の80%が空席のままで、いくら高い客単価をはじき出しても、これでは経営はどんどん苦しくなるのです。
- ではこれを、皆さんの産業であるサロンに当てはめてみましょう。
- ある地方都市で、小俣学長がサロン経営者と交わした会話そのものを以下にご紹介します。
- 経営者 「いやあ!ここのところ客単価は伸びているんですけどね~」
- 小俣 「それはすごいじゃないですか!で、どのくらいの数字なんですか?」
- 経営者 「最近新しいパーマ技術を導入したんですよ。
- それがもともと金額の高い技術で一人30000円くらいかな。
- それを10000円OFFで売り出したらクーポン紙での反応が高くて、
- 20000円でもバンバンやってくれるんですよ!」
- 小俣 「なるほど!それで現在の客単価はいくらなんですか?」
- 経営者 「一人当たり16000円前後ですね。安売りで客単価を落としているサロンが
- 多い中では、ちょっと自慢できるでしょ。」
- 小俣 「ほう。それで先月の売上げはいくらでした?」
- 経営者 「360万円です。10年前くらいまでのバブリーな頃と比べれば、
- 比較にはなりませんがね。」
- 小俣 「ところであなたのお店、スタッフは何人ですか?」
- 経営者 「今は私も現場に出ていますから5名がフルタイムで働いています。」
- 小俣 「一日の営業時間はたしか・・・9時から19時までだから10時間ですね。
- それで一ヶ月の稼動日数は?」
- 経営者 「12ヶ月で割ると平均25日になります。」
- 小俣 「ふむふむ・・・。ちょっと待ってくださいよ。ああ!出た出た!
- あなたのお店の現在の客単価は16000円じゃないですよ。」
- 経営者 「はっ?!なんですかそりゃ!計算して出た数字だから間違いないでしょ。」
- 小俣 「その計算どうやって出したんですか?」
- 経営者 「一ヶ月の売上げ÷客数イコールに決まっているじゃないですか!」
- 小俣 「ははは!それはサロンの客単価とは言いませんよ。
- ただの平均売価というものです。
- あなたの算出方法は、お客様が一ヶ月のうちたった2人しか来なくても、
- その二人の売上げを2で割って、これが当店の客単価です!
- 胸を張っていえますか?今の計算式ではそういうことになるのですよ。」
- 経営者 「あっ!そうか!どれだけ空いている時間があっても、
- 数字ははじき出せますものね。」
- 小俣 「そこなんですよ。じゃあ正式なあなたのお店の客単価を計算してみましょう。
- 一ヶ月の売上額 ÷( スタッフ数 × 一日の営業時間 × 一ヶ月の営業日数 )
- イコールで・・・、2880円。
- これがあなたのお店の正式な客単価ですよ!」
- そうです。これまで業界の通例とされてきた「客単価」の計算式は、実は人的労力を供給し、お客様からその見返りである利用料を頂くヘアサロン業には、全く当てはまらないのです。
- ではなぜ、以前からこの計算式が常識とされてきたのか?
- 理容店も美容店もお店を開けていれば、大方の時間帯でお客様が常にひっきりなしに訪れ、ブース全体がほぼ終日埋まっていた状況だから、経営上参考にできる計算式だったのです。
- ところが、現在のほぼ大多数のサロンは、そんな状況ではありません。
- 土日でさえも終日満杯が叶いません。
- もっとも、土日満杯でも、平日がガラガラでは今まで常識とされてきた客単価は全く意味のない数字になることがお解り頂けるでしょう。
- では、正確な客単価の計算式とは?
- 一ヶ月の売上額 ÷( スタッフ数 × 一日の営業時間 × 一ヶ月の営業日数 )
- これこそが個々のサロンの客単価です。
- 正確には「稼動客単価」といいます。
- 稼動のK、客のKを合わせ、私たちは略して「K単」と呼んでいます。
- この稼動客単価を弾き出すと、一人経営のサロンからスタッフ数十人の大型店まで、横並びで公平にサロンの実力を比較することが出来ます。
- そのサロンに一体どのくらいの生産性があるのか?
- 総生産時間に対する売上を正確に分析することで、サロン経営の効率性を高める指標になります。
- 一人のお客様に対する客単価を上げるための努力はとても大切なことですが、そもそも売上を生まない空き時間が多いのでは、いつまでたっても経営の状態が大きく飛躍することはありえません。
- これまで皆さんはブランディングによる、一人当たりのお客様の客単価を上げていく勉強をしてきました。この先は空き時間をいかに失くし、時間当たりの生産性をどのように高めていくか?その裾野を伸ばして行きましょう。
- 第三章:在庫保有のカン違い
- トヨタ自動車がなぜ、「世界のトヨタ」であり続けているのか?
- サブプライム以降冷え切った不況の中で、なお体力を保持し続けている
- 大企業は、どこにそんな余力を残しているのか?
- 消費力の弱くなった日本の社会でそれぞれの産業は、なぜ今もなお経営が続けられているのか?
- 現在の多くの産業はバブル崩壊の頃から、ある経営手法を取り入れています。
- 商品を作るメーカーは、お客様から注文を頂いてから工場で商品を生産しています。
- コンピューターのDELLはじめ、自動車、食品、化粧品といった消費財の製造メーカーにもその流れが常識となり、ブランディングの確立されたファッション関連の産業も、もちろん例外ではありません。
- 購入予約を頂いてから工場ラインを動かす。
- これを「計画生産経営」といいます。
- 20世紀のモノが不足した時代、商品を供給するメーカーは作れば作るほど売れていきました。
- その頃は「来月は大体このくらい売れていくだろう。だからこれだけ作っておこう。」というアバウトな推測で在庫を抱えていました。
- ところがバブル崩壊後、モノの需要は鈍くなっていき、在庫をだぶつかせることが企業の経営を圧迫しだしました。
- 世の中の多くの産業は、十何年も前にこのことを体験してきただけに、既に「計画生産経営」を取り入れていました。
- だからこそ、サブプライムに端を発した危機に、土俵際で踏ん張っていられたのです。
- さて、話を皆さんのフィールドであるサロン業界に持っていきましょう。
- 皆さんも実は「在庫」を抱えていたことをご存知でしたか?
- ここが今までこの業界の常識といわれていた部分のカン違いです。
- 「在庫って店販品のこと?」
- 「あるいはパーマ剤やカラー剤のこと?」
- と思われるかも知れませんが、そうではありません。
- 自動車メーカーは車を作って売るのが仕事です。つまり在庫となる商品は「自動車」です。
- パソコンメーカーは「パソコン」という商品。
- 魚屋さんだったら、仕入れた魚や海鮮品。
- パスタ屋さんなら、バックヤードにしまってある食材の数々。
- これらが皆、売り手が供給する「商品」です。
- 本来効率よく回転すべき「商品」がだぶつくことを、在庫といいますね。
- では、サロンのメインの商品は何ですか?
- 「技術」ではないですか?
- 人的労力を提供する「技術」こそが皆さんが収益を上げるためのメイン商品となりますね。
- その商品がだぶつくとは、次の現象です。
- あるサロンで働くスタッフAさんの一日を追ってみましょう。
- 午前9時に出勤し、10時オープンまでの間を店内の作業に汗を流しています。
- 午前10時の開店後立て続けに、3人のお客様をこなし時計を見たら午後2時を回っていました。
- その後お客様が途切れたので夕方6時まで、店内の作業や他のスタッフのヘルプに回り、午後8時の閉店を迎えました。
- このお店の営業時間は、午前10時から午後8時まで、合計10時間ということになります。
- ところがAさんの生産時間を計算すると、10時から2時までの計4時間ということになります。
- 生産時間とは、ズバリお金を生む作業時間ということです。
- つまり、Aさんのこの日の「在庫」が発生した時間は、実に6時間にもなるわけです。
- サロン内で働くスタッフの稼動時間に対し、直接的に生産性が発生しない時間が、他の産業と共通する「在庫」となることがこれでお分かりいただけるでしょうか?
- たった一日でもこれだけの在庫が発生するわけですから、一ヶ月を通算するとどこのサロンも凄い「在庫」時間が、知らぬ間に積み重ねられていることになるでしょう。
- ドアを開けていれば自然にお客様が訪れ、施術ブースが一杯になった時代のサロン経営なら、このような「在庫」時間など、あまり気にしなくてもよかったわけですが、今は違います。
- 人口が減り始めただけでなく、サロンを利用する消費者が減り続けている現在、そしてこれからは、いかに「在庫」発生を少なくしていくか?
- ここがサロン経営の勘所です。
- そういうことを教えると、決まってこんな頭の悪い経営者が現れます。
- 「それならやっぱり働くスタッフを減らさなければ・・・。」
- 働くスタッフを減らすと、一時的に収支状況は改善しますが、3ヶ月程度でさらに客数が減少します。そしてさらに経営者は働く人(商品)を減らしていく。
- これを私は「ヘア業界のデフレスパイラル」と称しています。
- 多くのサロンはなんとかこれで食いつないでいるのが現状でしょう。
- 陳列棚がガラガラのお店に、どこの物好きが買い物に行くでしょう?
- ガラス越しに見える店内のいすの台数と、スタッフの数がアンバランスなお店は
- 外からも見られています。「ああ、この店もそろそろ潰れるな・・。」と。
- この続きは「社会に評価されるヘア業界になるために」をお読みください!














あなたのお店の稼働客単価がここで計算できます!






































